書評「AWS認定アソシエイト3資格対策~ソリューションアーキテクト、デベロッパー、SysOpsアドミニストレーター~」はAWSを体系的に学びたい人にオススメ
そろそろAWSの資格とりたいな。でもどの書籍で学ぶのが良いのだろう?
そんなあなたに
AWS認定アソシエイト3資格対策~ソリューションアーキテクト、デベロッパー、SysOpsアドミニストレーター~
ということで本日は、2019/06/13に出版されたAWS認定アソシエイト3資格対策~ソリューションアーキテクト、デベロッパー、SysOpsアドミニストレーター~を紹介したいと思います。
こんな方にお勧め
- とりあえずAWSを体系的に学びたい方
- AWS資格(アソシエイトレベル)をコンプリートしたい方
- オンプレでのインフラ構築経験は豊富!インフラエンジニアの方
- オンプレでのインフラ構築経験はあるがAWSを利用したことはない。インフラエンジニアとして生きていくためAWSを学びたい。
- コードは書いてるぜ!アプリエンジニアの方
- EC2の上で動くコードは書いている。けど、そもそもどのようなインフラ構成になっているかわからない。その辺りまでわかるようになりたい。
- AWSでインフラを構築している。が正直よくわかっていないぜ!インフラエンジニアの方
- 動きはする。けど、これでいいんだっけ?もっといい構成ないのかな?このシステムに最適なアーキテクチャが知りたい。
それではいってみましょう!!
そもそもAWS認定資格とは
AWS認定資格とは、AWS上での構築/開発/運用などの技術的な専門知識を問うAWS公式の資格です。
資格は現在11種類存在します。
- ファウンデーショナル
- クラウドプラクティショナー
- アソシエイト
- ソリューションアーキテクト アソシエイト
- デベロッパー アソシエイト
- システムオペレーション (SysOps) アドミニストレーター アソシエイト
- プロフェッショナル
- ソリューションアーキテクト プロフェッショナル
- DevOps エンジニア プロフェッショナル
- スペシャリティ
- セキュリティ
- ビッグデータ
- 高度なネットワーキング
- 機械学習
- Alexa スキルビルダー
ファウンデーショナル、アソシエイト、プロフェッショナルの順に難易度が高くなります。スペシャリティはその名の通りそれぞれの専門知識が問われる資格になります。
この中でもっとも代表的で人気のある資格はソリューションアーキテクト-アソシエイトです。この試験を通してAWSの全般的な知識を習得することができます。簡単にいうとAWSの登竜門的な資格です。
エンジニアであれば、まずソリューションアーキテクト-アソシエイトを取得し、その後は各エンジニアのロールに合わせて他の資格を取得する、というのが良くある資格取得のフローです。
ざっくりどんな本なの?
AWS認定アソシエイト3資格対策は、アソシエイトレベルの3つの試験区分「ソリューションアーキテクト」、「SysOpsアドミニストレーター」、「デベロッパー」に対応した書籍です。 「ソリューションアーキテクト」の試験対策本ということであれば世の中にいくつか存在しますが、2019/7現在、「SysOpsアドミニストレーター」、「デベロッパー」の内容もカバーしている本はおそらくこれだけです。 といっても、それぞれの資格毎に章が切られている訳ではありません。資格毎に重点的に学ぶポイントが整理された書籍になります。
328ページと情報量は多いです。AWSとは?という部分から、主要なサービスの概要/使い方、あまり使わないけど試験にぽっと出るようなサービス(OpsWorksなど)の概要まで幅広く書かれています。
重要なところは漏らさず、かつ、簡潔に書かれている印象です。そのため試験後もリファレンスとして活用できると思います。
本書は「アソシエイト資格の対策本」ではありますが、AWSを体系的に学べる書籍でもあります。資格を取得する気はないけどAWSをざっくり理解したいという方にもオススメです。
以下、本書の特徴をいくつか紹介します。
章立て
章立ては以下のようになっています。
- 第1章 AWS認定試験の概要と特徴
- 第2章 データセンター
- 第3章 コンピューティング
- 第4章 ネットワーキング
- 第5章 高可用性
- 第6章 ストレージ
- 第7章 データベース
- 第8章 アナリティクス
- 第9章 セキュリティ
- 第10章 AWSサービスを活用した開発
- 第11章 アプリケーションサービス
- 第12章 サーバーレス
- 第13章 モニタリングと運用自動化
- 第14章 コスト最適化
- 第15章 デプロイメントとプロビジョニング
3つの資格対策本ということもありカバー範囲はかなり広いです。 それぞれの章には3つの資格に対する関連度があり、どの試験を受けるときにどこを重点的に学べば良いのかを知ることができます。
図、表が多めでわかりやすい
2ページに1つ以上の割合で図や表が記載されています。図や表の内容についても非常にわかりやすいものになっています。
最新の情報までキャッチアップできる
AWSサービスのアップデート頻度はとても早いです。どんどん形を変えていきます。 本書は出版日が06/13ということもあり新しい情報までキャッチアップできます。
例えば、re:Invent 2018(2018/11/25〜11/30)にて発表された、DynamoDB On-DemandやLambdaのカスタムランタイムなどについても記述されています。
抑えるべきポイントが明示されている
繰り返しになりますが本書は全体的に情報量が多いです。おそらくAWSを全く触ったことのない方が全てを理解するのは難しいと思います。 そんな方をフォローするため本書には各項において最低限抑えるべきポイントが明示されています。このポイントを抑えるだけでも頭が整理できるでしょう。
チュートリアルの存在
各章の最後でチュートリアルが紹介されています。頭で理解するだけではなく実際に手を動かすところまでフォローしてくれているのはGoodです。章の内容を熟読し実際に手を動かすことで理解が深まると思います。もちろん章末問題もついています。
実運用に有益な情報も
ELBの暖気申請や上限緩和申請など運用に関することについても触れられています。「そういえば、あの本にELBの運用に関すること書かれていたなー」というインデックスを貼っておくだけでも有益だと思います。
各章の概要
各章のざっくり概要です。
第1章 AWS認定試験の概要と特徴
タイトルの通りですが試験の概要がまとめられた章です。 どのようにAWSを学べば良いのか?や試験のアップデートにより出題が強化されたサービスについても記載されています。
第2章 データセンター
AWSの概要、リージョン、AZに関する章です。 この章自体は6Pとボリュームは少ないですが、AWSのリージョンとAZの関係はこの章を読めば理解できるでしょう。
第3章 コンピューティング
EC2に関する章です。 EC2のインスタンスタイプの見方、AMI、EBSなど、EC2を動かす上で知っておくべき情報がまとまっています。 インスタンスメタデータやユーザーデータの部分まで説明されているのがGoodです!!
第4章 ネットワーキング
ネットワークに関する章です。 VPC、Subnet、DirectConnect、Route53などネットワークに関するサービスについて学ぶことができます。 NATゲートウェイやVPCエンドポイントなど、なくてもインフラ環境を構築できるが、あると嬉しいサービスまで説明されています。
第5章 高可用性
高可用性を実現するためのアーキテクチャを学べる章です。 スケーラビリティを確保するための方法や、単一障害点の排除などAWSにおける設計の原則が学べます。 サービスとしてはELB、機能としてはAutoScaling(オートヒーリングなど)、AutoRecoveryの話がメインです。
第6章 ストレージ
ストレージに関する章です。 S3、Glacier、EFS、CloudFront、StrageGatewayなどストレージに関するサービスについて学ぶことができます。 S3に関しての記述が多く、バージョニング、ライフサイクルの設定など実運用で頻繁に利用する機能についても詳しく説明されています。 その他のサービスについては概要レベルの説明です。CloudFrontがストレージの章にあるのはなぜだろう?という感じはありましたが、流れとしては特に違和感ないです。
第7章 データベース
データベースに関する章です。 RDS、Redshift、ElasiCache、DynamoDBなどデータベースに関するサービスについて学ぶことができます。 この章は全体的にボリュームが多く、各サービスの詳細を知ることができます。 例えば、RDSに関しては、障害発生時の挙動/バックアップからのリカバリの方法など運用担当者が気になるポイント、 DynamoDBに関しては、キャパシティの計算方法など、かなり内容が濃い。
第8章 アナリティクス
アナリティクスに関する章です。 EMR、Athenaなどアナリティクスに関するサービスについて学ぶことができます。 EMRに関してはEMRクラスタの構成についての説明、Athenaについては概要レベルの説明となっています。
第9章 セキュリティ
セキュリティに関する章です。 IAM、CloudTrail、GuardDuty、Inspector、WAFなどセキュリティに関するサービスについて学ぶことができます。 IAMについての記述量が多く、クロスアカウントでのアクセスやIDフェデレーションについても学ぶことができます。
正直、初学者の方は結構難しい内容だと思います。ですが、どれもAWSを運用する上で重要なサービスです。 繰り返し読むことをオススメします。
第10章 AWSサービスを活用した開発
AWSを操作するコマンドについて学べる章です。CLI、SDKの概要を知ることができます。 認証情報の読み込み優先順位なども理解することができます。
第11章 アプリケーションサービス
アプリケーションサービスに関する章です。 SQS、SES、SNS、Kinesisなどアプリケーションの機能(メール送信、キュー)を提供するサービスについて学ぶことができます。
第12章 サーバーレス
サーバーレスに関する章です。 Lambda、APIGateway、StepFunctionsについて学ぶことができます。Lambdaについては外部ライブラリの利用方法やスロットリングなどかなり詳細に説明されています。APIGatewayについても同様です。
第13章 モニタリングと運用自動化
モニタリングと運用自動化に関する章です。CloudWatch、SystemsManagerなど運用に関するサービスについて学ぶことができます。
第14章 コスト最適化
コスト最適化に関する章です。AWSにおける購入オプション(オンデマンドインスタンス、リザーブドインスタンス、スポットインスタンスなど)にどのようなものがあるのかについて学ぶことができます。また、コストエクスプローラーやTrustedAdviserなどコストを最適化するための手助けになるようなサービスについても紹介されています。
第15章 デプロイメントとプロビジョニング
デプロイメントとプロビジョニングに関する章です。 CloudFormation、CodeCommit、CodeBuild、CodePipelinenなど開発サイクルを高速に回すためのサービスについて学ぶことができます。 この章を理解するとCI/CDパイプラインを構築することができるようになるでしょう。
最後に
「AWS認定アソシエイト3資格対策~ソリューションアーキテクト、デベロッパー、SysOpsアドミニストレーター~」は、AWSの資格を取りたい方にも、AWSを学びたい方にも有益な一冊です。 この一冊を理解できれば、アプリケーションの要件を聞いただけでアーキテクチャが頭の中に現れるようになると思います!!(難しい要件はなしよ)